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NEXT 【完結】
第75章 キタエル
「今の顔、見たー?」

「見た見た!あれ、相当慌てたよ〜」

1人訳が分からない稜は、焦って2人を交互に揺する。

「ちょっと、何であんなこと!」

あれでは羚汰が誤解してしまう。
まるで、これから女だけでアヤシイお愉しみが始まるみたいな。

床に転がったスマホを取ろうとする稜より先に、千夏がスマホを拾い上げる。

「いいんだって。たまには、慌てさせてやりなよ」

「えっ、だってー」

「いっつも稜が、さっきみたいに翻弄されてんでしょ。羚汰くん、ちょっと調子に乗りすぎじゃん」

「稜が、翻弄するぐらいにならないと!振り回されてちゃだめよ〜」

いつもならこんな悪ノリに参加しない有希子も、酔っ払っているからか、恐らく首謀者の千夏に協力しているようだ。

「そうだけど...」

流石にやりすぎではないだろうかー。

スマホの音がして、また羚汰から連絡だ。

「おっと。しつこいな」

千夏が通話停止を押す。

「!千夏!」

「いいじゃんー。もうこのまま今日は放っといたら?」

千夏から、なんとかスマホを奪い返して掛け直す。

「あー、もう。稜ったら」
「あはは。仕方ないじゃん」

千夏と有希子をひと睨みしながらカウンターキッチンから移動していると、羚汰が画面に現れた。

「稜、稜?よかった。え、怒ってる?」

「あ、ごめん。違うっ、違うくてっ」

真っ暗な寝室にそのまま移動してドアを閉める。
千夏と有希子は、まだカウンターの中で笑っているようだ。

閉めたドアに寄りかかるようにして、座り込む。

「稜?稜??真っ暗で何も見えないんだけど。大丈夫?」

不安そうな声がして、慌てて立ち上がり電気をつける。

「ごめん。ごめんね」

「あーーびっくりした。冗談だよな?な??」

やっと落ち着いて画面を見ると、本気で慌てている羚汰が画面いっぱいに写っている。

安心して急に稜に笑いがこみ上げる。

「ちょっ、何笑って!りょーーう!え??冗談だよな??」

「うん。冗談だよ。冗談!ほんと笑えないよねー」

そう言いながらも、笑いがおさまらない。

「じゃ、なんでそんな笑ってんだよー」

複雑な表情の羚汰が、余計におかしい。

「ううん。笑ってないよ」

「...なんか、楽しそうなんだけど」

今度は芝居でなく本当にむくれたようだ。

「今度会ったときに話すよ」
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