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第75章 キタエル
その後、ぐだぐだと千夏と有希子とゴロゴロしながら喋りまくり。
いつの間にか寝てしまっていた。

朝...、というより昼近くになって起きた時には、お腹のあたりににバスタオルがかけてあった。
おそらく有希子だろう。

しっかり眠ったので二日酔い、というほどではないがまだぼーっとする。

「起きたー?」

案の定、キッチンの中から有希子の声がする。

「ごめん!洗い物」

「いいのいいの。もう終わるし」

その言葉通り、もう残りわずかだ。
慌てて洗い物かごに伏せてある皿を、布巾で拭いてゆく。
その数だってそう対して残ってはいない。

「ありがとう〜」

皿を棚にしまいながら、部屋にいない千夏に気づく。

「あれ、千夏は?」

「シャワー借りてるよ。勝手に」

そう言われると、浴室のほうからシャワーの音が聞こえてきた。

「あ、ほんとだ」

「私も借りていい?」

「もちろん!」

残り少なかった洗い物がすんで、紅茶を入れてアイスティーを作っていると、千夏が風呂から賑やかにあがってきた。

「ここのシャワー、相変わらずめんどくさいね〜!」

元、稜の部屋だった702号室に何度も泊まりに来たことがある千夏が、またぶつぶつ言っている。

古いマンションの為、蛇口がシングルレバーではなく、お湯と水とに分かれていて。
自分でひねってお湯加減の調節をしないといけないのだ。

入れ替わりに笑いながら有希子が風呂場に行く。

有希子がお風呂に入るのは初めてかもしれない。
が、彼女ならなんとかするだろう。

ドライヤーがいるという千夏にドライヤーを渡してから、用意していた惣菜パンをテーブルに並べてゆく。

3人とも風呂から上がってから、朝ごはんーというか昼ごはんだ。

いろんな惣菜パンを、カットして分け合って食べる。

「いやー、昨日は久しぶりによく飲んだわぁ〜」

昨夜は、ワイン4本をほぼ、千夏と有希子で開けている。
二人に比べてお酒が弱めの稜は、どれもグラスに半分ずつぐらいしか飲んでない。

「いっつもじゃん」

「家では飲まないから、最近は飲むこと減ったんだもん!」

稜の指摘に、用意していたかのように間髪入れずに反論してくる。

「週末は毎週のように、母屋で宴会じゃないの?」

お祭りのようだった花見という名の宴会を、有希子も稜も思い出す。

「流石にもう、そんなにないよ」
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