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NEXT 【完結】
第76章 いざ、イタリアへ
確かに1人でホテルに泊まるのは不安だし。
かといって、ここからいくら近くてもアレックスのアパートになんて泊まれない。

「...わかった」

稜がそう言うと、電話の向こうで羚汰が安心した声がする。

「よかった!明日の朝には俺もそっち着くから」

もう一度アレックスに代わってと言われ、スマホをアレックスに差し出す。

いくつか会話をしてから、アレックスが電話を切る。

ドキドキしながらその様子を見つめていると、目が合ってアレックスがにっこり笑った。
つられて少し笑顔を返す。

今まで少し不機嫌そうでしぶしぶ迎えに来た風だったのが、その笑顔で印象が変わった気がした。

「カモン!レッツゴー!」

スーツケースを持って軽やかに歩き出すアレックスを、慌てて追いかける。

英語で話してもあまり通じないと分かったのか、アレックスもあまり話しかけて来ない。

無言のまま、広い空港を通り、駐車場をもぐんぐん歩いて、派手なイタリアな車に乗り込み、空港を後にする。

飛行機が降り立った時はまだ比較的明るかったが、すっかり夜になっていた。

それでも車の中から見える景色が、明らかにイタリアな景色で、ついキョロキョロと身を乗り出してみてしまう。
アレックスが、あれは何、と名前をいくつか教えてくれるがよくわらかない。

高速らしき道路に入ってからは、随分とそのらしさも消えてゆく。
それでも日本の高速とは違う。

乗っている車のせいなのか、体感速度がすごく早い気がする。
周りの車もビュンビュン飛ばしているようだ。


そのうち、流れる景色にも飽きてきた。
飛行機で眠っていないせいか少し瞼が重い。

アクビが出そうになるのを必死で堪えていたが、アレックスがそれに気づいたらしい。

寝ていいよ的なことを言っているのがニュアンスでわかった。

そういう訳にはー。


と思いつつ、いつの間にか寝てしまったらしい。

肩を軽く揺すられて目が覚める。

真っ暗な場所に、オレンジ色の明かりがいくつかついた、大きなお家の前だ。

「あ、ごめんなさい!!」

寝ぼけて日本語が出たが、どうやら通じたらしい。

アレックスが笑いながら、石畳の上をスーツケースを抱えて歩き出している。

建物の中から、女性の嬉しそうな声がする。

ドアの所で手招きをするアレックスの場所まで、稜は急いだ。
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