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第77章 異国の地
羚汰は壁画をマジマジと眺めている。
稜はその横で居たたまれなくなって、羚汰の手を引っ張った。

「もう出ようよ」

「えー」

次々と入ってこようとする観光客の波に逆らいながら、娼館を後にする。

結構小さな子ども連れともすれ違って。
どういう所とか説明するんだろうか、とかぐるぐる考えた。

「は~。息苦しかった」

「稜、真っ赤だけど」

楽しそうに、嬉しそうに羚汰が覗き込む。

「だって」



その後もぐるぐる遺跡を見て回る。

円形劇場や、広場跡、浴場など。
そして火山噴火時に逃げ遅れた人たちの石膏。

見るもの全てが、2千年前のものとは思えない。


広大な敷地の為、パンフレットからめぼしいものをチョイスして見て回ったが、それでも全部は見ることができないぐらいの広さだった。

「凄かった~」

「はは。稜、そればっか」

確かに、凄いを連発している気がするが。
他にこの驚きを表現する言葉が分からない。


クラウディアが待っているので、遺跡を出るとまっすぐ帰った。

電車とタクシーとを使って家に戻ると、クラウディアが料理を始めていた。

2人でも何か日本のものを作ってと言われるので、羚汰と相談して、テリヤキ・チキンのピザを作ることにした。

稜が、羚汰が持ち歩いていたマイ醤油で、チキンを焼いて。
ピザ生地と、他に乗せる具材の野菜を羚汰が作って。

即席にしては、なかなか美味しく出来上がった。

クラウディアも見たことのないピザに喜んで、3人で日本らしいピザを堪能した。

「稜。クラウディアが、このテリヤキのレシピを教えてくれって」

「え...。わかんない」

レシピと言われても、いつもなら入れるみりんもなかったので、砂糖と醤油で炊いただけだ。
特に砂糖は、頃合いを見ながら少しずつ足したので、分量はわからない。
しかも最後に、やはり砂糖だけではあの照りっとしたカンジが出なくて、羚汰のアドバイスで蜂蜜をすこーし足した。
いつもより甘い照り焼きになったのが、ピザに意外にマッチして美味しくなった気もする。

「だよな~」

羚汰も笑って、クラウディアに説明している。
クラウディアも笑っている。

他にもクラウディアが作った、サラダやパスタや、噂のアクアパッツァも食べた。
どれも美味しくて、お腹いっぱい食べた。
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