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第80章 promessa
すっきりした白のワインが、乾いていた体に染み渡るのがわかる。

「美味しい!」

遅れて席についたからか、料理が次々と運ばれて来る。

どの料理も色鮮やかで、薄暗くなってきたテーブルの上が一気に華やかになった。

「すごいすごい!」

魚のカルパッチョのようなもの、トマトとモッツァレラのサラダ、レモンが沢山乗った野菜のマリネのようなもの、タコがぶつ切りになってハーブであえてあるもの。などなど、前菜だけでお腹がいっぱいになりそうだ。

「美味しいね〜!」

「あはは。さっきまで寝起きで、ちょーぶすっとしてたのに!」

堪えきれず羚汰が笑い出した。

それで、こっちをジロジロ見ていたわけだ。

「ぶすっとしてた訳じゃ...」

「あ、そんなワイン飲んだらダメだよ」

グラスを持ち上げようとする手に、羚汰の手が伸びてきて掴まれる。

「え。美味しいのに」

「ゆっくり飲んでよ。夜は長いから、ね」

そう言われて、一瞬の間の後顔が赤くなるのがわかる。

まだ、部屋に帰ってもー、なのだろうか。

羚汰をちらりと伺うと、まだこちらを見つめていて目が合う。
当然といった自信に満ちていて、少し色を孕んだ目がキラリと光っている。

「そんなピッチあげて飲んだら、さっきみたいにスグ寝ちゃうんだからー」

確かにプールサイドで、シャンパンをがぶ飲みして寝てしまったけど。
あれは疲れていてー。

羚汰が笑いながら、店員さんに何か注文した。

ほどなくして、レモン色の飲み物が2つ運ばれてきた。
ミントだろうか、葉っぱが入っていて。
淵にはレモンがかけられている。
長い円柱のコップはグラデーションがかかっていて、少し気泡も見える。

「何これ。すごい綺麗!」

「ここのレモンのカクテル、有名らしいよ」

グラデーションを崩すのは勿体ない気がするが、刺さっているストローでかき混ぜる。

すうっと甘酸っぱい、それでいて甘さのあるカクテルー。

飲み込んで、何か違和感を感じ止まっていると、また羚汰が笑い出す。

「あはは!バレたか。ノンアルだよ、それ」

「やっぱり!!」

昼間に飲んだレモネードとは違うけれど、アルコールは入ってなさそうなのだ。

「俺のは、リキュール入りだけどね」

そう言われて羚汰のグラスを見ると、刺さっているレモンのカットの仕方が違う。

「え!ズルい!そっちがいい!」
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