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NEXT 【完結】
第83章 斎藤家
イタリアに行く時の飛行機では、一人旅という緊張感と、久しぶりに羚汰に会えるという高揚感で一睡も出来なかった。

帰りの飛行機は、羚汰が傍に居てくれる安心感と、旅やモロモロの疲労感で、食事以外はずーっと眠っていた。

途中、とある国で乗り換えを行ったのだが、ほとんど覚えていない。

日本に着いて、大きな荷物は空港からマンションに送る手配をし、新幹線まで乗って羚汰の地元までやってきた。

この日は街中のホテルに一泊して、明日、羚汰の両親やお兄さん家族に会う手筈だ。

そこそこ大きなホテルは、羚汰の高校時代のサッカー部の先輩が勤めているからとかで、格安で泊まれるらしい。

飛行機などほとんど眠っていた稜は、始めて見る街の景色と、思っていたより大きなホテルにテンションが上がってきた。

逆に羚汰は気を張っていたのだろう、ぐったりと疲れている。

チェックインカウンターに、羚汰の先輩は居なかった。
尋ねてみるとたまたま今日は休みで、明日のチェックアウトの時はいるかもしれないとのことだった。

「大丈夫です。聞いてますから」

そう言われ、部屋に案内される。


「うわーーーっ!!!綺麗〜!!!」

通された部屋はホテルの高層階で、少し曇っていたが見晴らしがよく、有名な橋などが見える。
まだ夕方といっても早い時間で、夜になると夜景が綺麗だろう。

「では、ごゆっくり」

部屋に入ってすぐ、案内してくれたホテルスタッフが去っていった。
無表情に見えたのは、笑いをこらえていたのかもしれない。

稜は、はたと現実に戻され、改めて部屋を見渡す。
思っていたより遥かに広くゴージャスな部屋で、明らかにスイートルームだろう。
稜が立っているのはリビングで、隣にちらりと寝室が見える。
調度品も高級そうで、そのソファに羚汰が腰を下ろし、軽く横になった。

「ねぇ。部屋って、本当にここでいいの?」

「ははっ。言うと思った」

おデコに手を乗せたまま、羚汰が笑っている。

「だってー」

格安なハズがない、ドラマにでも出てきそうな部屋。

横になって目を伏せている羚汰を残し、そっと寝室を覗くと、クイーンサイズはあろうかという大きなベッドが、“2つ”並んでいる。

寝室の窓は大きく少しカーブを描いていて、景色がリビングより広く広範囲に見える。

「俺も、ここまで凄いとは思わなかった」
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