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第84章 パイプベッド
「よだれ...。そんなに、気持ちい?」

口元に垂れまくっている唾液を羚汰が舐めとる。

と同時に片足を担ぐようにして体が深く繋がってゆく。

苦しいほどの圧迫感に、もう声を出すのも頷くのもままならない。

身体で返事を感じ取ったのか、羚汰が動きを早めてゆく。

「ああ...凄い汗で。全身、びしょびしょ..」

稜の額の汗をぬぐう羚汰の顔も汗が滴っている。

稜が寝る前につけたエアコンはとっくににタイマーが切れたらしく静まり返っていて、そのリモコンも今はどこにあるのか。

部屋は2人の熱気ですっかり汗が吹き出るような暑さだ。

しかし、汗とは違う水音が部屋には響いている。

「...ったぁ、りょ、おあっ、あんんっ」

揺れるなかで羚汰の名前を何度も呼び、その体に手を伸ばす。

「いいよ...。イって?」

「ちがっ...、ああっ!!」

律動とは違う方向に跳ねるようにして、稜の体がうねって果てる。

その体を抱きしめて、荒々しく舌が交わされ、羚汰がまた動き出す。

「もうっ、もううっ、..めっ、だめぇっ」

「俺もっ」

激しくうねり収縮を続ける稜のナカで、羚汰が暴れまわり、最奥で数回に分けて放った。



羚汰の熱を体の奥底で感じて、それが広がってゆくのを感じる。

体に、汗ばんだとはもう言えないぐらい濡れた羚汰の重みがかかる。

自分の呼吸よりまだ荒い羚汰の息と、その呼吸する体の動きに、またそこがきゅうっとなる。

「...まだ?まだ足りないの?」

羚汰が首横にある顔を、稜に向けて聞いてくる。
力が抜けて吐息を繰り返すように放たれるその声が、まだ痙攣している子宮に響く。

「ちがっ、んっ」

「...ごめんね?」

舌が優しく交わされてから、羚汰が謝ってきた。

わけがわからず、聞き返そうと呼吸を整えていると、羚汰がゆっくり体を離してゆく。

「...んっ、羚汰?」

起き上がって、リモコンを探したのか、エアコンが動き出した。
ティッシュでそこを拭って、まだ力の入らない稜のその場所も綺麗にする。

涼しい風が音を立てて部屋に送られてきた。

羚汰が、ティッシュをゴミ箱に投げてから、狭い稜の横に寝そべる。

稜も体をなんとか動かして、敷布団の上で並んで横になった。
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