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第85章 母の思い
知世と少しぶかぶかのユニホームを着た兄弟に見送られ、駅で下ろしてもらう。

電車を乗り継いで、なんとか新幹線のホームにたどり着いた。

少しだけ時間があるので、何か新幹線の中で食べるお弁当をー。と、駅にあるお土産屋とお弁当やお惣菜なんかが並ぶコーナーをぐるっとする。
珍しい品々にキョロキョロしてると、なにやら喧騒とは違う音がする。
カバンの中で稜の携帯が鳴ってるらしい。
ずいぶん経つまで気付かなかった。

「あ、母さんだ。...羚汰ごめん、出てくる」

人混み激しいこの場所では電話に出れない。
しかも内容が内容だ。

「じゃ、適当に選ぶよー」

羚汰の声に手を振って、スマホの画面をフリックしながら通路に出る。

「あー、もうやっと出た〜!」

どうやら、何度もしつこく鳴らしていたらしい。
昨日から今朝にかけて、羚汰の実家に行くことは伝えてあった。
相当気になったらしい。当然と言えば当然だろう。

「ごめん。今駅なの」

「で、どうなの。どうだったの!」

身を乗り出した母親が容易く想像出来る。

「うん。なんか、びっくりするぐらい歓迎された」

「あらそう〜!よかったじゃない」

稜以上に、きっと反対されると思っていたらしい。
言葉とは逆な驚きが明らかに感じ取れる。

「でね。近々ご両親がウチにご挨拶にってー」

「あら、やだ。大袈裟ねぇ。ご挨拶って、今すぐ結婚するんじゃないんだから〜」

ケラケラと母親が電話口で笑っている。

そうだ。まずはその話だ。

「あのね、母さん。その、結婚することに、したから」

言っていて恥ずかしくなってくる。
足早に通り過ぎる人が見ている訳ないのだが、視線が気になって落ち着かない。

「はい?だから、早くて来年とかでしょ。ご挨拶だなんて、まだ早いわよぉ〜」

ぜんっぜん、話が通じない。

「えっと。それが、ちょっと早まったというか、何と言うかー」

「え?よく聞こえないわよ。稜?」

恥ずかしくてしどろもどろの稜の声が、雑音でかき消されたようだ。

「だから!結婚するの!!年内に!!!」

周りの人が一瞬ビクッとなるぐらいの声が出た。

「年内??え、羚汰くん、学校は?それにほら、就職だって」

確かに、年内はまだ在学しているだろう。
当然、就職もまだだ。

「そーなんだけど。でも、そういう事に決まったから」
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