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NEXT 【完結】
第85章 母の思い
一瞬の間の後、スマホを慌てて遠ざけないといけないぐらいすっとんきょうな声がする。

「おとーさーん!ちょっと、お父さん!!」

部屋の中を駆け回って父親を探している音がする。
慌ててバタバタするものだから、カイがびっくりして吠えている。
電話の向こうがなんとも賑やかだ。

恐らく、スマホを持ったまま、父親に説明をしているのだろう。
慌てふためいて要領の得ない母親の声がして、落ち着き払った父親の声がたまにする。

「稜、本当なのか」

電話の向こうが父親に変わった。

「うん。少しだけ早くなったかもだけど」

羚汰の就職が内定していること。
本当は仕事が落ち着いてからと思っていたが、なるべく早く結婚したいと羚汰が言ってくれたこと。
ご両親や家族に大歓迎されたこと。

掻い摘んで説明をする。

「...そうか」

父親の返事は短い。

「で、その...。向こうのご両親が皆で会食でもって」

羚汰の父親に渡されたメモを引っ張り出す。
ここ2週間ほどの良い日が書いてあった。

本当にスグだ。

「うちも、今度の休みで構わないよ。羚汰君こそ、バイトじゃないのかね」

イタリア行きの為に、バイトを長期に休んだ。
それから帰ってすぐのお休みなんて取れるだろうか。

「わかった。じゃ、なるべく来週で」

いくつか確認をして、電話を切る。

向こうで母親が何やら騒いでいたが、父親の方は終始落ち着いていた。

全身から嫌な汗が吹き出ていて、電話を少ししただけでぐったりだ。

羚汰は?

顔を上げさがすと、人混みの少し先に羚汰の顔が見える。
どうやら羚汰も探しているようで、互いに見つけた。
羚汰の笑顔にほっとする。

「いたいた。電話終わった?」

「うん。そろそろ行く?」

ホームに向かいながら、電話の内容を説明する。

両親の反応に、当然だろうねと羚汰も頷いている。

来週、羚汰のバイトの都合によってでいいと話すと、スマホを取り出しバイト先に電話をかけだした。
風が強いホームでなんとか会話しているようだ。

「来週の土曜日の夜で、大丈夫」

「ほんとに!」

来週の土曜日ということは、1週間もない。
あまりの早さに驚きだ。

「ついでに結婚式も押さえた」

「ええっ!!」

「貸切は2ヶ月前までに押さえないとなんだ。だから、最短でも12月。ちょっと先になっちゃうけど」
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