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NEXT 【完結】
第85章 母の思い
「向こう着くまでヒマだろうと思って」

不自然な動きで稜と顔を合わさずに椅子に座っている。

そういえば、お弁当売場の近くに、旅行客を対象にした雑誌だらけの本屋もあった。
そこでこの有名な結婚情報誌を発見し、購入したということだろうか。

そこで羚汰が買う姿を想像すると、余計にビックリする。

「...恥ずかしくなかった?」

ウェディング姿のモデルの女の子が、雑誌の中で笑顔でこちらを向いている。
その背景は、これでもかっという程の色とりどりのバラがひしめきあっていて。
ハートも多いし、書いてある文字も女の子向けだ。

稜の反対に向けた顔をどうしても見てみたくて。
身を乗り出して覗き込むと、流石の羚汰も恥ずかしかったらしい。
珍しく顔を赤くしていた。

「レジ持ってくまでは、大丈夫だったんだけど」

レジのオバちゃんが、結婚情報誌をお会計する羚汰をジロジロ見てきたらしい。

確かに、旅行帰りの荷物とお弁当を抱えた学生らしきオトコの子が1人で結婚情報誌を買うのだから、不思議がっても当然だ。

本当の本当に羚汰が結婚に向かっているのを実感して、すごく嬉しいし、なんだか楽しい。

袋から雑誌を取り出しながら、笑いが止まらない。
新幹線に乗っているので、声を潜めて笑う。

「羚汰、ありがとね」

「うん」

「ただ、残念なんだけど」

もったいぶって、少し間をとる。

「何」

「これ、“首都圏版”だから」

「...は?」

この結婚情報誌は、地域によって内容が異なる。
それは主に式場や披露宴や二次会会場などの情報が乗ってるからで。
こんなに分厚いのも、これが首都圏版だからだ。

稜の地元版はここまで分厚くないはずだ。

「あっ、ほんとだ」

隅っこに書かれた文字を見て、羚汰ががっくりしている。

「くそー。そんな文字見えねーし」

確かにその文字は薔薇の背景に紛れてあまり目立つものではない。

「でも、式場とかの他は、まあ一緒だと思うからー」

開けてパラパラとめくると、指輪の広告やら、流行りのドレス、今度行う両家の顔合わせの流れとか、使える部分も多そうだ。

「あ、これ見て!すごい」

色鮮やかなウエディングケーキが並ぶページで止まる。
他にもレース模様だったり、何かのキャラのケーキだったり。

羚汰も身を乗り出して、2人で覗き込んだ。
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