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第85章 母の思い
「はい。それからリクエストのこれ」

ソファに座り噛み締めるようにカフェラテを味わっていると、羚汰が大きなエクレアが入った袋を渡してくれる。

「え?お義母さんのは...」

「あー、あれはバイト先にでも持ってく」

そう言われて、ほっとする。
2人で食べ切るには相当な量があるのだ。

「シュークリームなくてさ、コレになっちゃったけど」

「ありがとう!エクレアも好き!」

渡された羚汰の手にはなくなって、1個しかない。

「最後の1個だったの。俺にもちょっとちょーだい」

すり寄ってくる羚汰に、なんだか怪しさを感じながらえも、2人で分け合って食べる。
案の定、食べ進める度に羚汰が絡まってくる。

「もう、ちょっと!食べにくい〜」

「あれー。稜のここ、チョコついてない?」

稜の口の周りを舐めようとしてくる羚汰から、逃げようとするもいつの間にか抱き抱えられて座っていてそうはいかない。

「ついてないって!」

「あ!」

3分の1ほどになったエクレアからクリームが垂れてそれを羚汰が稜の指ごと舐める。
イヤらしく舐める舌先に思わず視線が奪われる。

「危なー。ほら、食べちゃって」

そのまま手を持たれて、稜は仕方なく残りをばくっと食べ切る。
それでも指に残ったカスタードを、羚汰が舌で追いかけて口に入れる。

「美味しい...」

稜は妖しく光るその瞳に引き込まれるように、自らの唇を寄せる。 
羚汰の罠にかかってしまった気がするが、そんなことは今は気にならない。

甘い香りと柔らかく吸い付く唇に、体が反応して熱い。

腕を絡め体を引き寄せ、次第に舌も絡ませる。

羚汰に向かい合うようにひざ上に座り、頭を抱えるようにして舌を貪る。

羚汰の指は、いつの間にかキャミをまくるように這い上がっていて。
その指に優しく背中の中心を撫で下ろされ体がビクッと動く。

「んっ...はぁ」

「...ベッド、行く?」

すっかり色めいた瞳が、稜を見上げる。
羚汰の荒くなった息と固くなったモノが、朦朧とした稜にも感じられる。

ベッド...は、今は。

「やだ...。ここで、シよ?」

「ここで?いいの?」

いつもならベッドがいいと言う稜に、羚汰のテンションが上がる。

「ここで、今すぐ欲しいの...」

「...ヤバい。エロすぎ...」

そう言いながら、舌がねっとりと深く絡まる。
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