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第2章 遭遇
「結構以前からー、そうですね、最初に気付いたのは5月ぐらいかな?なんとなくそうじゃないかなって思ってたんです。それからも何回も来られてますよね?みなさん楽しそうにお話されてるから、なかなか声がかけられなくってー」

店員の男の子ー、リョウは少しはにかんだような照れ笑いを浮かべた。
嬉しそうに話すリョウに比べ、3人はさっき散々話題にしてた人物のまさかの登場にただただ驚くしかなかった。

「あ、僕、土日のランチはココでピザ焼く担当なんです」

彼が指した先には、ガラスの仕切りが付いたカウンターのようなものがあり、その向こうにタイル張りのカラフルなピザ釜が見える。

「ピザの生地回して作ってる人??いっつも帽子の人が作ってない??」

質問をしたのは千夏だが、3人とも白い帽子を被った人物が軽やかにピザを空中に向かって投げる、ピザパフォーマンスは何度も見た事がある。
本格的なピザ釜で、ピザ作りのパフォーマンスもあるのが、このレストランの売りの1つだ。

「はい。ここの担当の時はキャップ被ってピザまわしてます。今は、その、ランチの時間終わったので...」

言いにくそうに、リョウがする。
3時半を過ぎ、ランチの時間は終わっているのだ。
店内を見渡すと、広い店内に残ってるのはあと3組ぐらいだ。

「あ、時間!!」
「ごめんなさい!」

リョウは微笑むように少し笑いながらお店のドアを開け、三人を外へ見送りに出てくれる。
さりげない一つ一つの動きがスマートで、嫌味がない。

「ごめんなさい。びっくりしましたよね。」

と、稜に話しかける。

「...確かに、びっくりした」

「ははっ。だから何だってカンジですよねー。
でも、また来て下さいね。
今度お会いできたら、他の店員に内緒でピザの具たっぷりサービスしますから!」

爽やかに手を振って見送られた。
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