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第36章 お泊り会
3人ともかなり酔が回ってきてはいたが、有希子はいつまでも甲斐甲斐しく鍋の世話をしてくれ、最後はリゾットになった。

食後は、稜が持ってきたケーキでデザートだ。

散々しゃべりながら食べすすめるものだから、ケーキを食べる頃にはすっかり夜もふけている。

フルーツたっぷりの小さなショートケーキをホールのまま、フォークで食べてゆく。

「うーん!贅沢だねー!」

「チーズづくしにケーキに最高よ〜!!」

「やばいわ〜。最近また太ってきたのに〜」

「千夏、あんたのどこが太ってるのよ!!」

「お腹周りがヤバイのよぅ」

「あ、わかるぅ〜!」

「年末で飲み会も多いしさ〜」

ケラケラ笑いながら、3人ともフォークの手が止まる気配は一向にない。

「貴之のお母さんがさ、私が料理苦手なの知ってるからさ、お惣菜をしょっちゅうおすそ分けしてくれるの!見てよこれ!」

そう言って、冷蔵庫を開けると、様々なお惣菜が入っているであろうタッパーや器たちが見える。

「そうそう。さっきから、冷蔵庫にたくさんあるなって思ってた」

貴之の両親は、隣の母屋で祖父の代から続く小さな仕出し料理屋を経営している。
仕出し料理屋といっても、大それたものではなく。
今は、普段は近所の会社や高校の教員用のお弁当を作って、配達しているお弁当屋さんだ。
日替わり弁当は、安くて美味しいと評判で、とても流行っている。

料理を両親で作り、貴之の妹さんやパートさんで詰めたり、配達したりしているらしい。

「だから、すっごい美味しいのよ!ありがたいの!ありがたいけど、美味しすぎて太るのよ〜!」

半泣き状態で叫ぶ千夏に、有希子と稜は笑うしかない。

「それに、崖っぷちに立たされたら、私も料理をするようになるかな〜って思ってたんだけどさ」

「これじゃ、作ることないもんね」

「そーなのぅ!!そうだ、よかったら、2人も貰って帰って!」

「え!嬉しい!助かるぅ!ね、稜」

「うん。お弁当に出来るわ」

「稜、お弁当作ってるの?」

「うん。前の日にアラカタ作っといて、朝詰めるぐらいだけどね。あ、でも、おむすびは、朝握るかな」
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