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第37章 クリスマスの奇跡
え?

だれだって??

「K大の医学部1年で、S県の大きな病院の3男で、地元で結構なヤンキーで、女性関係も確かに派手だったらしいね。お父さんのコネかどうかはわからないけど、一浪して入学したらしいから、19歳、っていうか今ハタチ、かな。んで、確かに、その地元に子どもがいるらしいよ。俺も写真、見せてもらっちゃった」

羚汰が次々としゃべりだす内容がよくわからなくて、稜はかるくパニックだ。

「え?え??」

「...まだわからない?」

至近距離に羚汰の顔がある。

「彼の名前、“齋藤 涼”」

「サイトウ リョウ??」

「そ。俺と同姓同名、とまではいかないけど、名前似てるよね?」

「...うん」

「で、俺の名前は?」

「...斉藤羚汰」

「でしょ?たぶんだけどさ、あの千夏さん、俺の事『サイトウ リョウ』として調べたんじゃない?K大で『サイトウ リョウ』って言ったら、そりゃ彼が出てくるよね」

え?どういうこと??

今まで聞いていたウワサは全部、その“サイトウ リョウ”くんのもので、羚汰のものではない???

「俺、最初に稜に会った時ちゃんと自己紹介したんだけどな。そういえば、稜、あんま覚えてなかったもんね」

羚汰がカバンから財布を出し、学生証を取り出す。

「それに、あのゲームセンター行ったとき、稜、食い入るようにこの学生証見てたから。俺、てっきり知ってると思ってたんだけど」

さっきから話があちこちに飛んで、稜は追いつけていない。

「はい。ちゃんと見て」

稜は学生証を手渡される。

K大学の学生証だ。

確かに、あのゲームセンターに行ったとき、学生証を見たけど。
学生証を見たというだけでショックを受けてしまって、内容は見なかった。

「ほら、ここ。学部と学科。読んでみて」

「...外国語学部。イタリア語学科」

え!!!

医学部じゃないの???

「学年はナイけど、今3年ね。今年、編入して入ったから」

「え??編入?編入生??」

「そう。編入生」

医学部でもなくて、1年生でもない?

「引越の挨拶の時に、編入生だって言ったんだけどな。覚えてないならしょうがないけど」

「...覚えてない」

羚汰が声にだして、ははっと笑う。

「じゃ、ここも見て。生年月日」
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