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第38章 羚汰の秘密
「...んっ、はあぁっ」

「...はぁっ」

息苦しさにやっと2人は離れてた。

ソファーの上で息を弾ませている稜に対し、羚汰が息を整えるように話し出す。

「稜...。俺、稜に言わなきゃいけないことがあるんだ」

稜の髪をそっと撫でながら、優しく微笑む。

その微笑みの中の目が、何か悲しい光を帯びている。

「...何?」

また少し不安になる。

羚汰が体を起こし、ソファーに座り直す。

稜もその隣に座り直した。

羚汰は自分の足に肘をつくようにして前のめりになり、正面を向いている。

「俺の本当のウワサのこと。...今度こそ千夏さんが聞きつけるかもしれないし。ウワサとして稜の耳に入る前に、俺の口から言っとくべきかな、って...」

「...聞きたい。羚汰の事は。もし、悪い事でも」

稜がそう言って、手を伸ばして羚汰の手を握る。

「...そう思って」

羚汰が力なく笑う。

つながった稜の手に指を絡めて握りしめる。

「俺さ。こんな風に、好きな人なんて俺には出来ないと思ってたんだ。だから、どーなってもいいっていうか。別にウワサになることとか、気にしてなくて...。本当にバカな事をしたって、今は思う。...もう取り返しつかないけど」

「いいから、言って。前置きばっかで、気になるよ」

羚汰の顔が稜の方へ向く。

「...だよね。ごめん」

手をほどいて、稜の髪をまた撫でる。

「稜...。好きだよ」

羚汰がすごく真剣な眼差しで稜を見つめる。

「稜のことが好きだって自覚してから、本当に辞めたからね」

「...うん」

意味はよくわからなかったが、稜は思わず頷いた。
頷くことで、羚汰が話し始める気がしたからだ。

「今年の夏ぐらい、にさ。たまたま、サークルの中の女の子たちの会話を立ち聞きしちゃって」

羚汰は確か、サッカーのサークルに入っていると前に聞いた。
バイトが忙しくてほとんど参加できずにいるが、試合があるときは人数合わせで駆り出されるとか。

男女混合で、サッカーだけじゃなく、キャンプに行ったり、飲み会なんかも多い、コンパサークルのようなものだ。全部で30人ちょいいるが、全員が集まることはほぼなく、正確な人数はわからない。
その中で女の子は10人ほどで、ほとんどが誰かの追っかけだったりする。
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