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NEXT 【完結】
第38章 羚汰の秘密
水槽の光がぼんやり光る中、天井を見つめる。


羚汰のウワサ...。

大学でどれだけ広まっているのだろう。


内容が内容なだけに、そう広まっているとは思えない。


でも、“サイトウ リョウ”と別人だよって言ったら、千夏の耳にも入るだろうか。


それこそ、今度は否定できない。

羚汰も認めた事実だ。


今度も否定してくれたら。

嘘でも否定してくれていたら、それを信じたかもしれないのに。


でも、羚汰は話した。


きっと、すごく覚悟がいったに違いない。



ポジティブに捉えよう。

ここまで曝け出して、全てを教えてくれたんだ。


そっとドアが開く音がして、羚汰が寝室に入ってきた。


あれからきっと1時間は経っている。

もう稜が寝ていると思っているのだ。


そっと頭を撫で、ゆっくりと布団の中に入ってきた。

「羚汰...」

「ごめん。起こした?」

「ううん」

「...ごめん。寝れないよな。...やっぱり俺、あっちで」

布団から出ようとする羚汰のパジャマを掴んでそっと引き寄せる。


「...もう、秘密はない?言ってない事とか、私の知らないウワサとか」

羚汰がまたそっと稜を抱きしめる。

「もうないよ...。俺の全部、もう隠し事は何もしてない。ごめんな。稜にはもう何も隠したくなかったんだ...。ごめん」


「謝らないで。もう...謝るようなこと、しないで」

「!...もうしない!絶対」

柔らかく包んでいた腕にぐぐっと力が入り、稜が胸に引き寄せられる。

「うん...。これから、これからの羚汰を信じる...」

「稜っ...。ありがとう」

羚汰の声が本格的に揺れている。

見上げると、羚汰からキラリと光るものが流れている。

「羚汰...。泣かないで」

そっと、羚汰の頬を伝うものを拭う。

「?...俺?」

羚汰が自分の目頭を押さえて確認する。

「やべ...。涙出してら」

自嘲の笑いを浮かべている。

涙を流している事に気づいてなかったのだろうか。

すぐ真顔になり、稜を見つめ返す。

「もうダメかと思ったから...」

羚汰の手が稜の顔を包むように添えられる。

「羚汰...」

泣き出しそうな羚汰の顔に、稜も手を添える。

オデコをくっつけて、目を閉じる。

柔らかい空気に包まれるようにして、2人で眠りについた。
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