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第44章 Situation
ショーツが脱がされたのだと気付いた時には、羚汰が起き上がって手に持ってにっこり微笑んでいた。
それほど羚汰の動きは早かった。

「えっ、ちょっと!」

「はい。没収~」

「ねえ、ちょっと!!」

手にひらひらさせて風呂場に向かおうとする羚汰に、飛びつこうとするも、ひらりとかわされる。

「新しいのも履いちゃダメだよ。そのまま、ね。...履いたらオシオキするから」

「...なんでっ」

スカートの下がスースーして、思わず裾を押える。
部屋着のワンピースは膝ぐらいの位置まであるが、やはりショーツがないとなんとも心もとない。

「ん~?そうだな~、俺を残して勝手にベッドから出た罰、かな?」

ショーツを手ににっこりほほ笑む。

そんな。確かに寝た時にベッドから出たけど、その前に1回は起きてたのに。

立ちすくんでいると、また羚汰が近づいてくる。

「なんなら、全裸でもいいんだけど...」

そう言いならが、ワンピの首の所をクイっと引っ張る。
上からボタンが3つついていて、一番上のボタンがポロリと外れてしまう。

「ひゃっ」

慌ててそこを手に後ずさりをする。

全裸でホットケーキとか、考えられない。

「シャワー、浴びてくる」

羚汰がショーツをヒラヒラさせて風呂場へ向かう。

稜は、片手が胸元、もう片手がスカートの裾を握り締めたポーズのまま、その場でしばらく呆然としてしまう。

早朝から何が起こったのか。

ふと我に返り、また赤面をしながらも、軽くドライヤーで髪を乾かし、ホットケーキの用意をする。

生地を作る。メレンゲを泡立て生地に混ぜ込み、フライパンを温め、少しずつ焼く。

自分の恥ずかしい状況を忘れる為にも一心不乱で料理した。

「出来た?」

ふと、羚汰の声が耳元でする。

「きゃっ!」

声と同時に、羚汰の手がお尻を撫でて確認している。

「ん、履いてないね。合格」

覗き込んでそう囁く。

「...もう少しで出来るよ」

甘い香りが広がっている。

「美味しそうだね」

そう言いながら、稜の腰に手を回して後ろから抱きしめる。

何気ないその動きだが、ショーツがナイと思うだけで、いつもよりドキドキが増す。

「ね、私の部屋の冷蔵庫にフルーツがあるの、取ってきてくれる?」
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