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第44章 Situation
後ろから首筋にキスを落としていた羚汰が、しぶしぶ返事をする。

「フルーツ?」

「うん。イチゴとかキウイとかが冷蔵庫に...、あ、あと生クリーム。それが、私の部屋の冷蔵庫にあるの。...この格好のままで取りに行くの、ちょっと」

稜がスカートの裾を押さえる。

少し止まっていたが、吹き出すように笑う。

「あはっ。そうか。うん。いいよ。取ってくる」

稜の頭を撫でて、頬にキスを落とすと、羚汰が離れる。

ホットケーキ生地がぷくぷくして来たので、裏返していると羚汰が帰ってくる。

「さむさむさむ!!」と口走りながら、また稜の後ろから抱き着く。
冷たい体が稜の体温を奪う。

「冷たっ」

「寒かった~」

羚汰が、抱き着きながらもふるえている。

「え、その格好で行って来たの?」

いつものパーカーとスエットズボンを着て、玄関のクロックスを素足で履いて行って来たらしい。

「だって、スグ隣だしさー」

「それでもその格好は寒いよ」

「うん。寒かった。ぎゅってして」

取って来てもらったし、仕方がないので、振り返ってぎゅっとする。

「あー、あったかい~」

「はい。おしまい」

さっと身を翻して、またフライパンに向き直る。

「えー」

口を尖がらせた羚汰がまた後ろから抱き着き、稜の体を左右に揺らす。

「短い~。足りない~」

「ちょっと、もう焼けちゃうんだって。ほら、コゲちゃうっ」

不服そうにする羚汰をなだめて、ホットケーキを皿に乗せる。

「ね、後でいっぱいぎゅってするから、カフェラテお願い。フルーツ切って、生クリームしなきゃ。じゃないとせっかくのが冷めちゃうよ」

しぶしぶ羚汰がカフェラテにとりかかる。

生クリームを軽く泡立て、イチゴやキウイをカットする。

なかなか美味しそうなホットケーキが出来上がった。

テーブルに運んでいると、羚汰もカフェラテが出来たらしい。

「タイミングばっちりだね!」

「ん。めちゃ美味しそう!」

羚汰もホットケーキの出来を見てテンションがあがっている。

「「いただきます!」」

ふわふわの生地でナイフを入れると、その感触がないほどすんなり切れる。
口に運ぶのも気を付けないと、フォークから落ちてしまいそうなぐらい柔らかい。

「うんまっ!!」

「美味しいね!」
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