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第47章 思い込み
「遅かったですね。待ちくたびれましたよ」

勝手に押しかけて勝手に待っていたのに、まるでこちらがお願いして待って頂いたような口ぶりだ。

「佐々木さん...」

イスに腰掛けているのは、紛れもなくこの前見合いして断ったはずの人物だった。

「あ、これ。女の人は嬉しいんでしょ」

またしても上から目線で渡されたのは、薔薇の花束だ。
大きく20本ほどは入ってそうな花束は、オレンジや赤やカラフルで統一性のない色味の薔薇が入っている。
その花束をテーブルの上に半ば乱暴に置く。
どこをどう喜べというのだ。

「あの...受け取れません」

何を思ってこんな物を。
その前に“婚約者”と名乗ったのも驚きだ。

桃香や瞳が心配そうにこちらを伺っているのを、視線で合図を送る。

「まあ、立ってないで、座ったらどうです?」

「いえ。結構です」

殊更冷たい事務的な対応をする。
この人物にはこのぐらいしないと伝わらないような気がした。
1つ呼吸をしてから続ける。

「私、お断りした筈です。しかも、仕事場にこんな風にお仕掛けられて、迷惑です」

佐々木は、またまたぁ、といったように、手を広げ首をすくめたポーズを取る。

「何かの間違いだと思って」

「はぁ?」

「この間、あんなに僕たち話も合ったし、意気投合したじゃないですかぁ」

「...」

どこをどう取ってそう勘違いできるのか。

「それに、僕、ビビビっと来たんですよね。この子と結婚するなって」

「!!」

向こうで聞き耳を立てている桃香たちスタッフも驚いているのが伝わってくる。

稜は、開いた口が塞がらない。

そんな風に驚いているのを、また勝手にいい方へ捉えたらしい。
佐々木は得意満面だ。
丸々とした足を組む、というより、足首を膝に引っ掛けるようにしてそっくり返り、コーヒーカップに手を掛ける。

「で、仕事は何時に終わるんですか。この近くに鉄板焼きの美味し...」

「行きません」

稜がなんとかそう言い切ると、佐々木は片眉を釣り上げて、わざとらしいほどの表情をする。

「ステーキは嫌いですか。じゃ、フレンチ...」

「そういう意味じゃありません。私、佐々木さんとは結婚しませんし、お付き合いもしません」

口に運んでいたカップが止まり、ソーサーに戻される。

「どうしてですか」
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