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NEXT 【完結】
第51章 旅行 〜前編〜
一瞬何が起こったか分からなかった。

「んんっ...っ...」

口の中でいちごが潰されて、果汁があふれる。
羚汰の口からも果汁がやってきて、必死になって稜も追いかける。
首筋に伝ういちごの果汁を、羚汰の舌が追いかけて舐め上げ、また口の中に舌を入れてくる。

「「すっぱ!」」

そう同時に言って笑い合い、オデコがぶつかる。

ぐるりと体が反転して、今度は小ぶりだが真っ赤ないちごを羚汰が摘む。

「じゃ、やり直す?」

いちごを指先でつまんで掲げると、稜が体を伸ばしてそのいちごを口に入れる。
羚汰が驚いた顔をしている。

「ははっ。もうやらないって言うかと思った」

「らって、くひのなははすっはいあら...んっ」

また羚汰の口がやってきて、口の中が甘い果汁で溢れる。

「ん、今度は甘かった」

羚汰の指が唇を撫でる。

「...なんか、やらしい」

「いまさら?でも好きなんでしょ、もっかいやろっか」

小ぶりだが、真っ赤ないちごが羚汰の口に入ってゆく。

笑いながら尖らせたその口にいちごが半分のぞいていて、今度は稜からそれを奪うように、羚汰の首に腕を巻き付けて顔を近づける。

それから笑いあって、何度もそのキスを繰り返した。

暖かいいちごの果汁は、そんなに美味しいものとはいい難かったが、そのキスがエロティックに思えて、2人でその行為を貪った。

「やべぇ。ちょーヤリたい」

「えっ、ここで!?」

「ん、しよ?」

羚汰の舌が耳元を這い、手が稜の体をまさぐっている。
両手でその胸を押すがいつもの様にびくともしない。

「だめだめだめ!!」

「おっちゃんなら来ないよ」

セーターの下から羚汰の指が背中をなぞり、体が跳ねる。

その時、横のいちごの白い花に、ミツバチが見える。

「ほっ、ほら!ハチ、蜂っ!蜂がいるから!」

「んー?はち〜?」

いちごの受粉に、ハウス内でミツバチを飼っているらしい。
ハウスに入ったときから、ブンブン飛び回っていたが、気になるほどではない。

「激しい動きしてたら、刺されちゃうっ!」

羚汰の動きが止まり、吹き出す。

「何それ。えー、刺されるー?」

「刺される刺される。刺されて、病院とか行くことになったら、これからの予定が、ねっ!」

必死に羚汰を説得する。
これからの事を話すと、羚汰も納得したのか、手がしぶしぶ離れてゆく。
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