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NEXT 【完結】
第51章 旅行 〜前編〜
不自然にいちごを持つ自分の姿が、スライドして、いちごをかぶりつくアップが写る。

「ちょっ、今のダメだよ!消して〜!」

スマホを持って羚汰が逃げる。

「ヤダ。この稜、可愛いもん」

羚汰の頭上に掲げるスマホに手を伸ばしていると、耳の下のあごの辺りをぺろりと舐められ、慌てて飛び退く。

「きゃっ」

「キスしてくれたら、これ消す」

羚汰がスマホを手ににんまり笑っている。

「!何を言って...」

「そんな周りを見なくても、誰もいないよ?」

じりじりとハウスの中を追いやられてゆく。

「ほら。チューしよ」

「お、おじさんは!?さっきの!」

通路の真ん中で、羚汰に抱き抱えるようにして捕まってしまう。
近づく羚汰の胸を押しながらなんとか、おじさんの事を言って誤魔化そうとすると、羚汰が笑う。

「他の野菜見に行くってゆってた。俺が電話するまでたぶん来ない」

「たぶん?」

「そー、たぶむぐっ」

手に持っていたいちごを羚汰の口に入れる。

「こおら、りぉー」

もごもご大きないちごを食べる羚汰が可笑しくて、可愛くて、手を伸ばして小さめだったがいちごを摘んで、次々口に入れる。

「ぐっ、いれふぎ...」

口から溢れるいちごを、咄嗟に稜の指が拭き取り、自分の口に入れて舐める。

ごっくん、と羚汰が飲み込む。

「ヤバイ、それ」

次の瞬間には、強く引き寄せられ舌が入ってくる。

「んふっ...」

暑いぐらいのいちごハウスの中で、甘い匂いに包まれながら、抱きしめ合い互を貪るように舌を交わす。

羚汰の舌がやさしく口内を動き回り、次第に稜の体から力が失われてゆく。

やっと離れた時には立っていられない程で、羚汰に必死にしがみつく。

「いちごの味」

にっと笑った羚汰が、近くのいちごを摘んで、稜の口に入れる。

「んごっ...」

急にいちごが口に入ってきて慌ててると、羚汰がゲラゲラ笑っている。

「もー」

口に半分ほど入れられた大きないちごを、手を伸ばして口から出そうとすると、その手がのけられる。

「?ひょっと...」

こんな大きないちごを一口でなんて食べれないー。

そう思って睨もうとすると、羚汰の口が近づいて、そのいちごごと口が重なる。

「んぐうっ!」

酸っぱいいちごの果汁と共に羚汰の舌が入ってくる。
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