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第54章 旅行~羚汰side編~
「ほら、稜、急がないと時間が」

「あ、待ってー」

急いで鍵を閉め、その鍵を持ってホテルのロビーへ急ぐ。
貸し切り露天風呂の持ち時間ギリギリだ。

片手にお互いタオルやら着替えやら持っていたので、一旦車に置いてからロビーに行った。

なんとか間に合った。

「はー。焦った」

一息ついて稜を見ると、風呂上がりだからか、急いだからか、真っ赤な顔をしている。

「稜、大丈夫?」

繋いだ手と反対の手で、稜の顔に手をやる。
赤いだけあって、めちゃ熱い。

しかし、稜は何故か目線を合わせようとしない。

「...羚汰が」

「ん?俺が?」

そこでジロりと睨まれる。

何その顔。めちゃ可愛いんだけど。

「...何でもない」

ふーん。ヤリ過ぎとか言いたいわけね。
稜だってあんなに自分から動いて、声だって出しまくってエロエロだったのに。

「何でもないことないでしょ」

稜の赤く染まった耳にかぶりつく。

「ひゃっ、羚汰っ」

慌てて稜が逃げようとする。
何もなかったように、繋いだ手を引っ張って留める。

「んー?何か??」

慌てる稜が、ちょー可愛いい。

「ほら、朝食ビュッフェ食べるんでしょ」

「...食べる」

ロビーからほど近い、ビュッフェのレストランに急いだ。


ちょうど朝食の時間のピークらしく、混んでいたがなんとか座れた。
予約してなかったので、何やらカウンターのような所に横並びだが仕方ない。

野菜メインの色鮮やかな料理の数々を、2人で競うように取ってきて、笑いあって食べる。
和洋中の他に、エスニックや、北欧風など、ありとあらゆる国の珍しい料理があって、野菜メインでも飽きさせない。

「お腹いっぱいー」

「だね。肉っぽい物がナイからどーかと思ったけど」

お腹がすごく減っていたらしく、羚汰は何度も皿を持って往復した。

「羚汰、全種類食べたんじゃない?」

確かに、たくさん種類があってとうてい食べきらない量を食べたかもしれない。

「朝からいっぱい運動したからね」

机の上の稜の手を握りながら、囁くようにそう言うとまた稜の顔に火が付く。

「...もう」

そう言いながらも、肩に寄りかかるように、肩を軽くぶつかってくる。
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