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第55章 スーツケースの秘密
見慣れている筈の羚汰のカラダが現れただけなのに、学ランから直接出てきた引き締まった筋肉に見惚れてしまう。

照れながらも、聴診器をその胸に当てる。

「...っ」

冷たかったのか、羚汰の体が微かにぴくっとなる。

「ごめん。冷たい?」

「ちょっと、最初だけ」

何箇所か聴診器を当てて、おもちゃなので勿論聞こえるはずもない音を聞いているフリをする。

おもちゃの聴診器はかなり小さくて短い為に、前のめりな無理な体勢だが仕方ない。

無言のままの羚汰に、稜も落ち着きを取り戻してきた。

首をかしげるようにして聴診器を首にかけ、今度は指で触診する。

「はっ...。何か、おかしいですか?」

指先で羚汰の胸の先の周りをゆっくり撫で回すと、羚汰が息を吐きながらそう尋ねる。

「おかしいわね...」

稜がそこで羚汰を見つめ、指先を胸の先に伸ばす。

「っ!」

爪を立てるようにして、そこを刺激すると羚汰の体がはっきりとぴくっと動いた。

「なんだか、さっきと様子が変わってきたわよ、ここ...」

「...っ」

「こっちもかしら?」

反対の胸の先も撫で回し、固くなってきた先をつつく。

羚汰の反応が可愛らしくて、稜はノってきた。
立ち上がり、羚汰の少し横から近づいてのぞき込む。

「本当におかしいわね...」

見つめてからその先に息を吹きかける。

「っ!」

驚くようにして体をこわばらせた羚汰がわかる。

気づかないフリをして、顔をもっと近づけ、その先をぺろりと舐める。

「...先生」

「どうしてからしらね。これはもっと調べないと」

羚汰の反応を知りながらも気づかないフリをしたまま、舐めまわす。
こらえるように呼吸を繰り返す羚汰が、軽く首を持ち上げ上を向いているのがわかる。
その手が、稜の頭を触ろうとするのを、腕をつかんで遮る。

「ダメよ、じっとしてて」

体を近づける為に、羚汰の両足のあいだに入り込み、その太ももに手をついて、体を寄せる。

もう片方も舐めて、荒くなっていく呼吸とその反応を楽しんでから、やっと顔を上げる。

「...どうしたの?そんなに、苦しい?」

「苦しい...」

眉間にシワを寄せて耐えている羚汰が、すごく色っぽくて可愛い。

もっとイジメたい。

羚汰の困った顔が見たい。

稜のS心に火がつく。
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