この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第57章 春愁
羚汰が出かけて一週間も過ぎ、3月になった。

まだまだ寒さは続くものの、街は春仕様になってきた。

駅や電車の広告、デパートなど、“spring 〇〇〜”という文字が華やかな花などど一緒に踊っている。

季節を先取りしたい若い子はすっかり春の装いで、稜は1人冬に取り残されたような気分だ。


羚汰は毎日アキラの目を盗んでは、電話やLINEで頻繁に連絡をしてくれるものの、やはりさみしさは募る。

普段通りに生活しているのだが、やはり何か欠けた気がしてならない。
羚汰と生活するようになってまだ数ヶ月も経ってない。
その前の、おひとり様期間の方が随分と長かったのに、その時どうしていたか思い出せないぐらいだ。

実は、羚汰が出掛けて4日目の夜に、やっと注文していたダブルベッドが届いた。
その広いベッドに1人で眠る気にならず、稜はその日からは自分の部屋に戻って生活している。

その事を羚汰に伝えると、すごく悲しそうな顔をしたがしぶしぶ了承してくれた。

寝起きとお風呂を稜の部屋でするだけで、料理の器具や調味料、生活用品などは羚汰の部屋にある。
熱帯魚に餌やりを頼まれているし、結局二つの部屋を行き来するハメになってしまった。


「なんか、複雑だねぇ。別にそのダブルベッドで寝たらいいじゃん」

有希子が、皿の上に乗った沢山のケーキの中から、いちごがたっぷり乗ったタルトをつつく。
タルト生地が固くて思うようにフォークが入っていかないらしい。

「でっしょー。私もそう思うのよ」

小さなプラスティックの容器に入ったいちごのムースを口に運びながら千夏も相槌を打っている。

3人で、駅前のホテルのカフェで毎年行われる、ストロベリーデザートビュッフェに来ているのだ。
いちごを使ったあらゆるデザートが並ぶこのビュッフェは、女性客に大盛況で人も多い。

「...そうなのかな」

稜は、甘いケーキで胸いっぱいになって、カフェラテで小休憩だ。
ホテルのコーヒーマシンは、ボタン一つでカフェラテが注がれるタイプで。
羚汰が入れてくれるのとは、当然ながら一味も二味も違って思える。

「ま、稜が良いようにしたらいいけどさー」

「まあね。それに、まだ付き合いだして間もないからそんななのよ。私なんか、尚が研修でもどこにでも3週間出かけてくれるなら、喜んで送り出すわ」
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ