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NEXT 【完結】
第57章 春愁
ホント羚汰には敵わない。

「あーあ。このままずっと言い合ってたいけど、本当行かなきゃ」

「うん...」

すごく名残惜しい。

この時期は仕事も忙しくて正直眠たいし、明日も仕事だし、切らなきゃとは思うが、ずっと羚汰の声が聞きたい。

「羚汰...」

「ん?」

電話を切って欲しくなくて、思わず呼んでしまった。

「好き...」

やり直しをまだするつもりはなかった。
つい、ぽろりと出てしまったのだ。

かなりの沈黙が流れる。

マズいことを言ってしまったかな。
流石にしつこかった。


「...それ、ほんっとダメ」

ああ、やっぱり。

羚汰の少し怒ったような声がして、ビクッとなる。

とっくに終わってんのに、何掘り返してんだよ。になるよね。

大きなため息が聞こえる。

「ごめ...」

「今のホントヤバイんだけど。電話切れないじゃん!?」



「稜。本当に覚悟しといて?帰ったら相当オシオキするから」

「えっ?ごめん、なさい」

「だめ!許さない!」

そんなに怒らなくてもいいのに。

「今の、好きはヤバい。ほんと、俺今日眠れないかも」

ぶつぶつそう呟く羚汰に、何となく意味がわかってきた。

怒ってるんじゃなくてー。

「今の、帰っても言って?」

何が違ったんだろう。自分でもわからないけど。

「...いっぱい言うよ。もちろん」

「あー、早く帰りたい」

「うん。早く帰ってきて」


結局、そんな不毛なやりとりを続けて、電話がいつまでも切れなかった。

やっと切れたのは、羚汰がスタッフらしい人に、アキラが探していると声をかけられてからだった。





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