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NEXT 【完結】
第58章 3週間ぶり
そうぽつりと羚汰が溢したのが耳に入った気がした。

う...情けない。

確かに、この格好で廊下に出るのはまずかったかなとは思う。
でも、部屋の中だし、コーヒーマシンのあたりまでは相当ドアから覗き込まないと見えないし。

羚汰がまた1つため息をついた。

なんだか呆れられてもいる気がして、しゅんとなってしまう。

この数年、女性らしい扱いを受けていなかった。
羚汰が女のコ扱いしてくれるのが、嬉しくもあり慣れないことで戸惑う。


「...稜。こっちおいで」

ふいに優しくなった声がして、顔を上げる。

幾分表情が柔らかくなった羚汰が、自分の膝の上をぽんぽんと叩いている。

「えっ、...そこ?」

「うん。ここ」

戸惑いながらも、膝の上に横座りしようとしていると、羚汰が腕をつかんで、前向きにされる。

「え、ちょ...」

「こっちー」

腰を抱きかかえられて、向き合う形で座らされた。
もちろん、シャツが際どいどころか、持ち上がっている気がする。

そんなのはお構いなしといった風にそのままぎゅーっと抱きしめられる。
羚汰のぬくもりを全身に感じると同時に、息が肌に触れてくすぐったい。

稜もその体を抱きしめ返すも、反応がなくそのまましばらく動きがない。

「...羚汰?」

「ん。ごめん。...心配し過ぎかもだけど。でも、やっぱ心配」

より一層ぎゅっと抱きしめられる。

そのせいでか、体も心もしめつけられ苦しい。

「ごめんね。もっと気をつけるね」

今度は心からそう思って謝る。

また大きく羚汰がため息をついた。

「ほんと、気を付けて」

羚汰が腕を緩めて、稜を見上げる。
今にも泣き出しそうに瞳が揺れていて、不安そうな表情を浮かべている。

心配し過ぎだよ?

そう言おうと思っていたのに、言えなくなってしまう。

「心配かけてごめんね」

羚汰の指が、顔にかかった髪をよけていく。

「稜はさ、いつもはしっかりしてんだけど。なんていうかー、自分の事、過小評価し過ぎだよ」

髪を撫でつけた指先が優しく頬をなでる。

触れられた箇所から、羚汰の想いが伝わってきて、体が熱くなる。

羚汰は真面目に話しているのに、こんな触れられたぐらいで反応してしまう自分が恥ずかしい。

「...ふっ」

いつものように親指で唇を撫でられ、薄く開いた口から甘い息がこぼれてしまう。
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