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NEXT 【完結】
第61章 お花見
「羚汰、ズルい」

「はいー?」

無垢れる稜に、くすくす羚汰が笑っている。

あれから3日ほど経つが、下の階の住人とは生活のリズムが逆なのか、羚汰が帰ってからは、あの声はしないのだ。

「そんなに聞かせたいの〜?」

「だって」

あの不快感を共有したいのに。

それにしても、夜中はことりとも音がしない気がするのは気のせいだろうか。

若いうちは、夜通しとかそんな日があってもいいのに。

って、なにを考えて。

あれこれ考えて百面相をしていると、そんな稜を見て羚汰がくすくす笑っている。

「たぶんだけどさー。そいつら、夜遊びしてんじゃね?」

田舎から出てきたカップルが、少しだけ都会のこの街で、クラブ遊びなど夜の遊びにハマっているー。

それが、羚汰の予想。

羚汰が帰って来るぐらいの電車で、逆に街に出ているのだ。
そして、きっと夜通し遊んで昼前とかに帰って来る。

「でも、そんな、毎日?平日に??」

「うーん。そーだよなー。毎日は金銭的にもキツいよなぁ」

この街にそこまで遊べるクラブがあるだろうか。

羚汰はそんなふうに遊んでいたのだろうか。

「夜のバイトとかかな?」

「あー、ありえるね。コンビニとかね!」

そっちのほうが現実的かもしれない。

「すぐそこのコンビニだったりして〜」

「えー。ヤダ!もうそこのコンビニ行けないっ」

下の住人の顔は知らないが、あの声を出してる人かと思うと顔が合わせられない。

「なんでー。だって、稜が行く頃は、時間帯的に違う人だよ。きっと」

そうかもだけど。

むくれていると、ほっぺをぷにぷに触られる。

「あ、そーいやさ。あのコンビニで思い出したけど。近くの公園、桜咲いたかな?」

今朝のニュースで桜開花が取り上げられていた。
今年は全国的にぐっと暖かい日が続いて、各地一斉に咲いたようだ。

先週見に行った時は、まだ蕾は固そうだった。

「どうかなー?」

「あの公園じゃなくてもいいけどさ。お花見しようよ。日曜日、俺昼のバイト休みだし」

「千夏のとこのとは別に?」

「うん。それは来週でしょ」

そう言いながら、羚汰がすり寄ってくる。
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