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第62章 花見という名の宴会
有希子と顔を見合わせてひっそりと苦笑していると、今度はおばさんと皆に呼ばれる人もやってきて同じように挨拶をしてくる。
話を聞くと、先程のお義母さんの妹さんにあたるらしい。
普段は家の畑をしながら、週の半分ほどお店を手伝っているのだとか。
そして同じようにビールを注いで、また去って行って。

そうかと思えば、手招きされて賑やかな輪に招かれる。
そこはお義父さんを中心としたおっちゃん軍団で。
挨拶はもちろん、そこでもお酌をされ。逆にお酌をして回ったり。
片っ端から紹介をしてもらったが、あまりにたくさんの人で誰が誰やら頭に入りそうにない。

稜もどちらかといえば、田舎の子で。
親戚もそこそこ多いと思っていたが、ここは半端ないぐらい人が多い。
千夏の実家は、そういうつながりがあまりないと言っていたので、面食らうのもよく分かった。

しかし、どこへ行っても皆大歓迎で。
新しいメンツである稜たちは、珍しいのもあってか、あっちこっちで引っ張りだこだ。

いつの間にか有希子や羚汰とさえ離れ離れになっていたものの、とても楽しく。
あちこちで広がっているお惣菜やおにぎりや、はたまた豚汁なんかもあって。近所で評判のお弁当屋さんなだけあって、本当にどれも美味しかった。

「美味しいかい?」

板さんと呼ぶのかどうか、料理の殆どを作っているであろう千夏のお義父さんに聞かれる。

「はい!どれもすっごく美味しいです!もうお酒が進んじゃって進んじゃって〜」

お世辞じゃなくて、本当にどれも美味しくて。
ビールにとても良く合って、ついあれもこれもと手を出してしまう。

そんな稜の食べっぷりに感心しているようだ。
大笑いをして、喜んでいる。

「そうだろう。これも美味しいぞ」

出されたのは、だし巻き卵。

さっき、一旦立ち上がってどこかに行っていたので、今作ってきたものと思われる。
ほかほかと湯気がたっていて、切り口からはピンク色の明太子が覗いている。

「うわっ。美味しそう〜!...うー、おいしーーい!!」

明太子の塩気が、出汁の効いたふわっふわの卵と相まって、なんとも美味しい。

「流石ですね!!ホント、美味しいわぁ〜」

などと稜が褒めちぎるものだから、お義父さんは鼻高々で。

「そうだろうそうだろう」

がはは。と豪快に笑っている。
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