パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第62章 花見という名の宴会

ちょうどその辺りにいた有希子にその事を伝えると。

「ああ。そうなの。終わったのよ、あのブーム」

ブーム？？

「何でもね、私は全然覚えてないんだけどさ。いつかテレビを見て『ヒ〇さん格好いい〜』とか私が散々言ったらしくて。ほんっと、覚えてないんだけど」

その格好いいと言ったのも、容姿ではなく男っぷりというか、リーダー的素質として格好いいと言っただけ。
それなのに、尚はその『格好いい』を勘違いをして、変に目指してしまった。

「え、じゃあ、その次のD〇IGOも？」

「そーなの。私がどーやら、褒めちゃってて。全くバカよね〜」

そうは言いながらも、有希子は嬉しそうに笑っている。

「だから、1番好きなのは飾りっ気のない尚だよ、って話をしたら、ブームがおわったみたい」

有希子の視線の先には尚がいて。
稜もその先に視線を移す。

おっちゃんたちに囲まれてバカ笑いをしていたが、有希子の視線に気づいたようだ。
膝の上に末っ子で女の子の華乃ちゃんが座っていて。
その耳元に話しかけ、手を握って有希子に2人で手を振る。

それを見て有希子も嬉しそうに手を振り返している。

どうも、ご馳走様です...。

そこへ、貴之の母親がやってきた。
片手にビール瓶を持っている。

「こんにちは。千夏ちゃんのお友達よね？」

「はい。お邪魔しています」
「ご馳走になってます」

挨拶して有希子が持っていたコップにビールを注ぐ。

「あらー。あなた飲んでないの？」

「ああ、そうなんです」

「でも今日は家に泊まるんでしょー？」

稜は、４時ぐらいに帰らないといけない羚汰を近くの駅まで送ろうと、それまではとお酒を飲まずにいた。
羚汰もこのあとバイトなので飲んでいない。

「そんなの、誰かほかの人に頼めばいいから。ほらほら」

「ええっ」

戸惑っていると、コップも用意されぐいぐい勧められる。
お義母さんはかなり出来上がっていて。

羚汰に視線を向けると、飲んでいいよとの合図。

確かにこの様子では拒めそうにない。

「そうだ！その頃なら貴之が帰ってくるだろうから、駅まで送らせるから。ね」

「じゃあ...」

稜がビールを飲むと、すごく嬉しそうな顔だ。

「いいわね〜。じゃんじゃん飲んでね。食べてね」

そう言ってまた有希子と稜のコップにビールを注ぐと、賑やかに去って行った。