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第62章 花見という名の宴会
そのまま歩こうとする羚汰の服を、立ち上がって引っ張る。
まだ息が収まってなくて、苦しい。

「待って。この辺、タクシー来ないらしくて...」

ブッブー、と音がして、貴之の車が横につく。
助手席の窓から千夏が、顔を出す。

「よかったー。ほら、2人とも乗って」

やっぱりお酒を飲んで走ったらか、気持ち悪い。

急に立ち上がったのもあって、稜はフラりとした。
慌てて羚汰がその肩を捕まえる。

「稜!」
「大丈夫っ?」

驚いた千夏が助手席から降りてくる。

「ごめん。走ったから、お酒が回っちゃったかも...」

千夏に抱えられて、そのまま座り込んでしまう。
すこし吐き気がする。

千夏が背中を優しくさすってくれて、なんとか落ち着く。

「貴之、このまま稜を連れて帰るから、羚汰くんを駅までお願い」

「わかった。ほら、乗って」

稜の様子を気にしているのか、戸惑いながらも羚汰が助手席に乗り込む。

車がその場を離れた。

「稜、歩ける?」

稜はなんとかうなづいて立ち上がった。





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