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第63章 お泊り会2
可愛い笑い声がして、目が覚める。

あれから千夏に支えられ、なんとか歩いて千夏の家に帰って横になり、そのまま眠っていたらしい。

「あ、起こしちゃった?ほら、華乃ー、起こしちゃったじゃない」

有希子が、娘の華乃ちゃんとお風呂から出てきたところらしい。

「ごめんなさーい」

キッチンを走り回っていた華乃が静かになる。

ふたつにくくっていた髪がおろされていて、くりくりとした髪がふわふわとゆれて可愛い。

「ううん。よく寝たから大丈夫だよ」

「どう?気持ち悪いの治った?」

「うん。熟睡しちゃった。今何時?」

ソファの上で稜が体を起こすと、部屋には有希子と華乃だけでほかの人はいない。

そばの窓から外を見ると、宴会場を片付けている音と声がする。

まだ千夏たちはあっちかな。

「んー?6時ぐらいかな」

「もうお風呂入ったの?」

華乃ちゃんの髪をタオルでガシガシと乾かしている。

「うん。華乃が汗だくだったから、ねー」

「ねー」

2人で笑っておデコを合わせている。
髪質は違うが、顔はそっくりだ。
くりっくりの黒い目にまつげがくるりっとしていて、ぽてっとした唇が愛らしい。
父親の尚が溺愛するのも頷ける。

「お兄ちゃんたちは?」

「さっきまで貴之さんにキャッチボールしてもらってたんだけど。もう暗くなったからねー」

「華乃もね~。キャッチボールしたんだよ!」

「甲子園のビデオ見せてもらうって言ってたけど、どうしてるかな〜?」

貴之は、高校二年の時に甲子園に出場経験がある。
ただし、2回戦敗退で。
そこで伝説となったエラーを仕出かしたらしい。
なので、本人はあまり語らないがよく酒の肴にされている。

有希子の息子2人は、小さな時から野球のリトルリーグに所属をしていて。
甲子園に出場経験がある貴之に会えるのを、すごく楽しみにしていた。

それで、張り切って朝早くからここに来てたんだ。

「尚がフテちゃってさー。もう2階で寝てんの」

野球どころか団体競技系のスポーツがまるっきし出来ない尚は、キャッチボールも出来ない。
お酒に弱いのもあって、尚は1人で寝てしまったらしい。

「ねー、リョウはなんで帰っちゃったの?」

髪を拭き終わった華乃が聞きに来る。

どうやら、華乃も羚汰がお気に入りらしい。

「...お仕事があるんだって」
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