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第69章 どたばた
休み明け、早速お休みの件を聞いてみることにした。
有給は、いくらまで連続して使えるのか。

数子さんにバレたら、根掘り葉掘り聞かれて大騒ぎになる。
なるべく社長に直接聞きたい。

いつもほとんど会社に居ない上に、月曜日で忙しそうにしていたが、なんとかお昼すぎに会社のエレベーター前で捕まえた。

今までも1日、2日の有給は取ったことがあったが、連続して長いお休みは取ったことがない。

出来れば1週間。
土日を挟んで9日間取れたら最高だろう。

「うーん。3日、ですかね」

社長が困った顔をしてから、そう唸る。

この時期にまとまった休みを取ることのなかった稜は知らなかったが、9月は祝日も多く、休みを希望する人も多いらしい。

土日を挟んで5日間。

短い...。

と思ったが仕方ない。

エレベーターが来たのもあって、お礼を言って早々にデスクに戻った。



「りょーう!こっち〜!!」

駅から出ると、以前も待ち合わせしたことのある駅前の広場で羚汰が待っていた。

仕事終わりに電車に乗った途端、羚汰からLINEが入って一個前の電車に乗っていたのがわかったのだ。

時間帯もあって、この時間は人が多いのに、大きな声で呼ぶ姿に、冷や汗が垂れる。
通り過ぎる人が見ている気がして、おずおずと近づいた。

「おかえり」

「ただいま。...ひゃっ」

羚汰の腕が伸びてきたかと思うと次の瞬間には抱きしめられていた。

「ちょっと、人が見てるからっ」

身長差があまりない羚汰と立ったまま抱き合うと、いやがおうでも視線が気になる。

逃げようとすると、羚汰がぎゅうっと抱きしめる力を強くする。
そうなるとはわかっていたが、どうしても恥ずかしさが先に立って拒んでしまう。

「ね、ここはちょっと」

社会人の帰宅ラッシュのこの時間は、寂れた駅でも人が多い。
学生の姿もちらほらあって、なんだか騒がれている気もする。

「気にしすぎ。誰も見てないよ」

そんなことないって。

「ホントはチューもしたいの我慢してんだから、ハグぐらいいいでしょ」

耳元でそう囁かれて、体がザワつく。

「っ...」

いつもの羚汰の匂いがしていて、体が熱くなってくる。

今朝もギリギリまで肌を重ねていて、その温もりを思い出してしまう。

「あー、なんか今エロい事考えたでしょ」

「違っ」
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