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第70章 実家
「羚汰。誕生日に行きたいとこ、思いついたんだけど...」

「うん。どこ?ってゆーか、何?改まって」

朝のバタバタとした時間。
会社に行く用意を整えた稜が、テーブルの横で正座している。
羚汰はシャワーから出たばかりで、ソファの上で髪を乾かしていた。

珍しく正座なんてしてかしこまっている稜に、くすくす笑いながらドライヤーを動かしている。

「その...私の実家に...一緒に行って欲しい...の」

「は?それはまた行くよ。そうじゃなくて、誕生日に行きたいとこなんだけど」

正確には、誕生日当日は平日なので、その週の土曜日に羚汰が珍しく1日休みを貰っていた。
翌日の日曜日も、夕方からのみなので、近場なら1泊も出来る。

その代わり、その日に休みを貰ったため、5月のほかの土日は半日休みが、計2日しかなかった。
羚汰的にはそのどちらかで、稜の両親に挨拶出来ればと思っていたらしい。

「うん。そうなんだけど。やっぱり、1日あったほうがいいし...」

「そんなかかるかなぁ」

どこかロマンティックな場所に一泊旅行と思っていたらしい羚汰は、とても不服そうだ。

「その。羚汰にね、私の暮らした街を見てもらえたらな、と思って」

稜の実家のあるあたりは、県内で3、4番目ぐらいの大きさの街だ。
生まれて育った街なので、思い出も多い。
徒歩県内に出身の小学校。もうすこし歩いて中学校。
自転車で20分ぐらいのところに高校。
駅の近くには、小さいが商店街もあって。
よく遊んだ公園や、駄菓子屋。

稜も今ではあまり立ち寄らなくなったそれらの懐かしい地に、羚汰と一緒に行ってみたいのだ。

「なるほどねー。意外と楽しそう」

不服そうだった羚汰がすこし興味を持ってくれてほっとする。

「温泉旅館はないの?そのあたり」

まだそこにはこだわりたいらしい。

確かに、実家に初めて挨拶に行った日に、そのまま実家に泊まるわけにもいかないだろう。
日帰りで充分行ける距離なので、旅館は思いつかなかった。

「どうだろうね」

意外と実家周りの宿泊施設の情報など持っていないものだ。
たいした観光地というわけでもない、地方の田舎なので当然だろう。

「調べとく。じゃ、それでいいかな?」

「うーん。稜は、それでいいの?」

「うん!」

笑顔で即答すると羚汰にも笑顔が戻ってきた。
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