この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第70章 実家
150円ほどで、ぎっしりカスタードの入ったシュークリームは、女子高生に大人気だったのだ。
お店の人は覚えてないだろうけど。

「なんかー、前よく来てくれてたよねー?」

「あ、え。はい」

10年以上前のことなのに、覚えてくれてる!
なんだか気恥しい。

「懐かしいなぁ。あの頃はシュークリームが売れまくったからね」

確かに。当時発売されたばかりの1日限定30個ほどのシュークリームは、夕方には売り切れることも多く。
稜たちが学校帰りに寄ると、もう残ってなかったー。ということが多々あり。
その度にこのおじちゃんが、ごめんなー。と謝っていた。

それで顔を覚えてくれていたのだろう。

「今日はまだ沢山あるから、いくらでも買っていって」

「じゃあ...」


シュークリームを買ってお店を出る。

ずつしりとした重さと甘い香りが懐かしい。

「持つよ」

羚汰が持ってくれて、はたと気づく。

「ごめんね。私は懐かしいんだけど、羚汰は楽しくないよね」

「そんなことないよ。稜の色んな顔が見えるみたいで楽しい」

にっこり笑う羚汰が、スーツ姿だからかすごく大人びて見える。
時計を見る姿など、今更ながらに見とれてしまう。

「そろそろ、行こうか」

「うん」

商店街を出て、実家に向かう。

歩くとなると少し時間がかかるのだが。
タクシーを拾うほどでもない。
ましてや、両親に迎えに来てもらうのもなんだか違う気がした。

途中、通っていた中学校の近くを通り過ぎ、てくてくと住宅街を歩く。

朝からあまり考えないようにしてきたつもりだが、次第に緊張が高まってきた。
それを打ち消すように思い出話をベラベラとしていた稜も、自然と口数が減ってくる。

「また緊張して、水飲みまくらないでよ」

羚汰が軽く肩をぶつけてくる。

有希子と千夏に合わせた時、あまりに緊張してお冷ばかり飲んで、トイレに行きまくったことを言っているのだろう。

「うん。そうだね。気をつける」

「え、マジでそんな緊張してんの?冗談だったのに」

「だってー」

羚汰は前の時の修羅場を知らないから。

そう喉まで出掛かって飲み込む。

その時、稜の電話が鳴った。
見ると母親からで。しぶしぶ電話に出る。

「稜、今どの辺?もう駅?」

「今、近所のタバコ屋のあたり」

昔ながらのタバコ屋さんが自宅から徒歩10分にある。
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ