この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第70章 実家
「え!あら!そうなの?お父さん迎えに行くって、今車をー。ちょっとー!!おとーさん!!」

電話を持ったまま母親が、恐らく車に乗り込もうとしている父親を止めにかかった。

稜は、スマホから慌てて耳を一旦離す。

「あんた、何、歩いてるの?」

「うん。もう着くから」

「まー!歩くとあるでしょ。迎えに行ったのに〜」

「うんうん。もう着くから、切るよ?」

電話の向こうでまだ何か言っていたが、構わず切る。
そうしないとキリがない。

ため息を小さくついたのだが、すぐそばの羚汰が気づいたようで、少し笑っている。

「迎えに来たのにって?」

「うん。そう。ごめんね。騒がしい母親で」

いつにも増してテンション高めなのが明らかで。
羚汰がビックリして引きはしないか心配だ。

家がもうすぐ見える位置まで近づいて、繋いだ手に力が入る。

それに気づいたのか、羚汰がゆっくりと歩みを止める。

「もう着く?」

「うん。その先の左側で屋根が茶色っぽいのがウチ...」

あと4件ほど先で、屋根が角度的にちらりと見えている。

顔がいつの間にか下を向いていたらしい。
羚汰に顔を起こされて、覗き込まれる。

優しい瞳が近づいてきて、その柔らかな光に見とれていると、ちゅっと唇が重なった。

「な!」

「大丈夫だよ」

にっと羚汰が笑う。

「普段さ、俺といて楽しい?」

「うん。もちろん!」

「じゃ、笑って?それを見てもらうんだからさ」

そう言われてハッとする。

羚汰といて、どれだけ自分が楽しく笑っていられているか。
その羚汰と一緒にいたい気持ちを伝える為に来たのに。

改めて羚汰の手を強く握る。
羚汰がまたにっこりと笑った。

「よし、行こ」

2人で足を揃えて歩き出した。



玄関先に着いた途端に、見計らっていたのか母親がドアを開けた。

挨拶しようとする羚汰に、まあまあと、家の中に招き入れる。

カイは、居間のゲージに入れられていて。
落ち着きがなく少し吠えている。
警戒しているというより、喜んでいるように見えるのは、稜の贔屓目だろうか。
母親が何度か名前を呼ぶと少し大人しくなった。

「どうぞどうぞ」

「失礼します」

父親がソファの定位置に座っていて。
その横にL字に置かれたソファに並んで腰を下ろす。

「はじめまして。斉藤羚汰といいます」
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ