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第72章 宿の朝
熱く奥まで貫かれ、体がまたしても反り返る。

今度は最初から羚汰の腰が奥に押し付けるように激しく動いて、稜の体を揺さぶる。

「ああっ、すごいっ奥にぃっ!!」

背の低いソファの前に跪き、ソファに寝そべる稜の足を担ぐようにして腰を引き寄せ打ち付ける。

ソファが悲鳴を上げて軋む音も、稜が発する喘ぎ声にかき消される。

先ほど手で確認したあの熱く固いモノが、奥に当たる感覚が今まで以上に感じられて、自分でもそこが締まるのがわかる。

「はぁっ、...締めすぎっ」

いつもならシーツを握って耐える稜も、慣れないソファに手のやり所がわからず、宙を泳ぐようにばたつかせる。

何かに捕まりたくて、また体を起こしてみようとするも、次々と押し寄せる波に、体が大きく悶えてしまう。

「ああっ、も、もう...だめぇっ!!」

あっという間に迎える果てに体を預けようにも、羚汰の動きは止まらない。

「あぁ...」

「...んぁあっ、ぁあっ」

良くつく暇も無いほど、奥がかき混ぜられ体が浮遊する。

熱く蜜液に溢れた稜のナカが、羚汰に巻きついて蠢くようにそれを促す。

「くっ...」

羚汰が大きく体を何度か打ち据え、痙攣しっぱなしの稜のナカに白濁を吐く。

昨日のそれで大した量ではないが、勢いあるそれをゴム越しに感じた。

震える手を羚汰に伸ばすも、いつもならそこで抱きしめてくれる羚汰が、素早く体を離してゆく。

1人ソファに取り残され、朦朧とした意識の中に、喪失感だけが残される。

「...羚汰?」

荒い息の中なんとか言葉を発するも、畳の部屋に戻って処理をしているであろう羚汰の背中が視線の端で黙々と動いている。

稜は広げている足が恥ずかしくなって、体を起こした。

まだなんとか袖を通していた浴衣を引き上げて、前を合わせる。

まだそこに羚汰の存在を感じて、気だるい体が思うように動かない。

そろそろ朝ごはんの時間、ということなのだろう。
その前にもう一度温泉に入りたい。

ソファの手すりを掴んでなんとか立ち上がる。

さっきまであんなに愛し合ったのは、稜の気のせいだったのかと思うと、涙が出てきた。


ぎゅうっと後ろから羚汰が抱きしめてくる。

「稜。...ダメだよ。待ってて、って言ったでしょ」

「...へ?」

着たばかりの浴衣が剥がされ、その肩に羚汰のキスが落とされる。
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