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第72章 宿の朝
小さなシャケの切り身に、卵焼き、海苔の佃煮ー。
大根おろしにちりめんじゃこが乗ったもの。
そして、おばちゃんが熱々を注いでくれた野菜たっぷりのお味噌汁。
などなど簡単な朝食がどれも美味しかった。

お腹が空いていた2人は黙々と食べた。
羚汰はご飯をおかわりまでして、あっという間に平らげた。

それでも、食べ終わる頃には9時を過ぎてしまっていて。
またしても大慌てで、部屋へと戻る。

チェックアウトの時間もそうだし。
駅までのマイクロバスの時間もある。
マイクロバスは無料で、それを使わない手はない。


鍵を開けて入ると、先ほどの情事の残り香がして。
二つ並んだ布団はシーツがどちらもぐちゃぐちゃで、周りに浴衣や帯が散乱している。

急いで出たので、そのままだったのだ。

「なんか、エロいねー」

羚汰が笑いながら奥まで進み、カーテンを開けて窓も開ける。

稜は散らばった浴衣を集めて、しわくちゃの中でもなんとか畳む。
布団もシーツを剥いでー。

「稜、化粧しなよ。俺がしとくから」

「うん...」

テーブルに化粧道具を広げて、さくっとお化粧を済ませる。

シーツを剥いでなんとなく布団を隅に畳んだ羚汰が、その横でじっとその様子を眺めていた。

「これ、付けたげる」

温泉に入る為に外していたネックレスを付けてくれる。

「ありがと」

付けた後もその場から離れようとしない。

「...ちょっと、羚汰。お化粧しづらいよ」

「んー。だってさぁ。稜の顔がピンクで、誘ってるとしか」

風呂上りにバタバタしていて、確かに顔が熱い。

指がまだストッキングを履いていない足を、つつつと触る。
稜は必死にその指をつかむ。

「羚汰、ダメだって」

「分かってるけどさー」

「...ほら、出来た!行こ!!」

早々に切り上げて立ち上がる。

「えー。もう?もうちょっとここで...」

「しません!!」

ぐずる羚汰の腕を引っ張って、なんとか部屋を出る。


チェックアウトをすませ、マイクロバスにもなんとか間に合った。

「また来たいね」

見た目と違い、食事は美味しいし、温泉はいいし、なかなか素敵な所だった。

「うん。浴衣で乱れるエロい稜が堪能できてちょー満足。絶対また来る」

バスに同乗していた、お年寄りの数人に聞かれはしないかとドキドキしながら、繋いだ手に力を込めた。
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