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少年悪魔
第2章 誕生日の夜
繭は恐怖に駆られ、そのおぞましいモノから逃げようとしたが、足が地面に縫いつけられたように動かない。
脳は動けと命令しているのに、動いてほしい足は動かず、腕が震えている。汗が気色の悪い感覚を伴って背筋を伝う。
異形が伸ばした無数の黒い手が足元を覆い、体がゆるゆると侵蝕されていくような感覚があった。
だんだんと体を支える力がなくなり、地面に膝を着く。
思考は徐々に鈍くなる。


「…あーあ、やっぱりね」


繭の耳に、聞き覚えのある声が届いた。
「だめだよ。その子に触ったら」
気づけば繭の前には誰かがいた。
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