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少年悪魔
第4章 大っ嫌い

*
なんだか嫌な気配がすると感じたのは、昇降口で上履きを脱ごうとした時だった。
だが、周りを見ても嫌な気配の大本は判らなかった。
(…気のせい?)
悪魔が見えるようになったせいで、少し過敏になっているのかもしれない。
気のせいだろうと上履きを脱ぐため足に手を伸ばした時。
「いいニオイ。オイシそう…」
耳に入った声に、身の毛が弥立つ感覚。
気のせいではなかったのか。
繭は声の主と目を合わせないように、声の聞こえた方向は見ずに全力で走り出した。
その姿を遥斗が溜め息を吐きながら見ていたことにも気付かないまま。

