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第8章 デート

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八月半ばを過ぎた頃、繭と遥斗は東山動物園（ひがしやまどうぶつえん）のコアラ舎にいた。
「…可愛い…」
薄暗い通路からガラス越しに見るコアラは、ユーカリの樹にしがみついたまま、なかなか動かない。それでも、愛くるしい見た目のコアラに繭は釘付けだった。
「繭って、そんなにコアラ好きだったっけ？」
コアラ舎に来るまでに、繭はトラやクマ、サイやゾウも見たはずなのだが、ここまでの食いつきは見せなかった。