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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
今の美月は、明らかに勇一に傷を隠そうとしている。そんな自分を、醜い狡い女だと思った。この傷は、晃司に陵辱され尽くして、絶望のあまり自ら生命を絶とうとした名残―、いわば美月にとっては忌まわしい過去の象徴だ。
何故かは判らないけれど、勇一にだけは、その哀しい傷を見られたくなかった。せめて勇一の前だけでは、五年前の汚れていなかった、清らかな自分のままでいたかったのである。