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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第8章 ☆♯05 SceneⅤ(AnniverSarY~記念日~)☆
 勇一の住み処は、築五十年近いという、下世話な言い方をすれば、オンボロアパートであった。そのアパートに美月が突然、転がり込んだわけだ。勇一の部屋は二階の一番手前、二〇一号室である。
 美月が勇一と暮らすようになってひと月が過ぎようとしていた九月下旬のことだった。その日は勇一が週に一度の公休日で、二人して朝から近くのスーパーに買い物に出かけた。美月の発案で鍋料理を作ることになり、様々な食材を買い込んできたのである。
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