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朏の断片
第2章 #1
県境に流れる川の河川敷には公園が細長く続く。そんな公園の端っこにある小さなグラウンドに、一人の男の姿があった。
ユニフォーム姿で、先ほどから土手に停めた車とグラウンドを往復し荷物を運んでいる。
とりあえず一通りの物を運び終え、眼鏡の汗を拭くと、ぼんやり高い空を見上げた。
まだ夏の暑さが続く午後の陽射しに、近くの病院の窓が一斉にギラギラしていて、目をやられそうになる。
「たまらへんな……」
夏は好きだったが、一人ボヤく。
何もこんな一番暑いような時間にわざわざ運動をしなくてもいいと思った。
「コーチ!」
ワラワラと駆け寄ってくるちびっこたちの元気な声を聞くと、そうも言ってはいられなさそうだ。軽く手をあげて応えた。
「タイチ。ちゃんと水筒持ってきたか?」
「持ってきた持ってきた!」
「まだ練習まで時間あるから、日陰で休んでろよ」