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朏の断片
第4章 #4


片桐は鍵をあけて上田を部屋に通すと踵を返した。


「とりあえず事務所に車置いてくるから適当に寛いでてや。すぐ戻るから」


事務所の車には練習に使う道具などが積み込んである。それを返して帰りは自分の車で戻る。

その間約十五分ほどだ。
いつもならば二十分だが今日は急いだ。


「ただいま!」

「……おかえり」


上田は適当な雑誌を見て寛いでいた。だがおかしなことにワンピース姿の少女がいない。


「あれ?」


代わりにいたのは至ってラフな男子的服装をした上田だった。


「何でわざわざ着替えたん!」

「何でって。別にアンタの前でまでミキでいなくてもいいと思って。……それともあっちのが良かった?」


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