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第12章 結婚記念日

前触れも無く、隆盛の目が開いてクスッと笑われた。



「おはよう、俺の奥さん。
腹の虫、すげぇな。
昨夜、晩飯食ってなかったもんな。メシにしよ。」


首の後ろから腕を回し、ギュッと引き寄せられる。


「おはよう、ふふっ…あたしの旦那さま。
お腹空かない？
もうペコペコだよ。」


隆盛は、唇に軽くキスをすると勢いよく起き上りカーテンを開く。

裸のあたしは、震え上がってお布団に潜り込んだ。

お布団の隙間から覗くと、隆盛の形のいい裸のお尻が見えた。


隆盛の着替えを覗きながら微睡むと、幸せを感じる。


「 今日は、俺の両親を紹介するからな。」


その一言を聞いて、あたしに緊張が走る。


「 ねぇ…今更だけど、あたしで大丈夫かな？」


「 大丈夫だよ。俺、早く結婚して子供作れって言われてるから、女なら大丈夫だ。」


「ああ…そ、そうなんだ。あたし、服は昨日のスーツだよ。平気かな？」


家を出る時に、必要最小限の準備しかしてなくて部屋着と下着と化粧道具しか持っていない。

スーツは、いつのまにか隆盛がハンガーに掛けてくれてた。


「 昨日のスーツ、清楚で俺好みだ。掛けといたから平気だろ？朝飯してやるから、着替えたらおいで。」


「 あたし、作るよ？」


「 ははっ、新菜はまだお客様だから俺が作るよ。一緒に暮らしだしたら、手料理楽しみにしてるからな。」


頭を撫でられて、あたしは猫みたいに目を細めた。


「 うん。楽しみにしてて。」


とは、言ったものの楽しみにされる程の腕前ではない。


この、一ヶ月で隆盛の胃袋を掴めるくらい花嫁修業しきゃ…。


あたしは、密かに決心するのだった。