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理想と偽装の向こう側
第23章 幸か不幸か
抱き寄せられて、さっきの続きの様に首筋に頭が埋まる。


「香織…いいに匂い…」


「シャンプーの香りだよ~」


唇が肌に触れて


「温かい…」


「うん…熱い」


「熱い?」


小田切さんが触れたところが、全部火が着いた様な錯覚に陥る。


「はぁ…熱い…」


「俺も…熱くさせて」


「えっ!」


「部屋まで、連れて行こうか?」


ニヤリと笑って、抱き上げようと
したので、つい


「歩かせて、頂きます!」


体育会系の返事をする。


「クスッ。じゃ…行こうか…」


「は、はい…」


初めてじゃないのに、またバクバクしちゃうよ!


「志信…私…恐いな…」


小田切さんは、少し驚いて


「え…恐い?」


「うん…幸せ過ぎて…恐い」


そう微笑んだ私に


「ふっ…なら、俺も同じだよ」


甘く、嬉しそうに微笑みかける。


彼の優しい唇が、私の火照るそれに重なって、甘く蕩かす。


私たちは、呆れるくらいキスをして、それから眠れない夜を過ごしていった。

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