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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
嘉之と駅で待ち合わせ、スーパーに寄って少し材料を買って行く。


簡単に、茄子とトマトのパスタとスープを作った。


とりあえず、ビールの私と嘉之はチューハイで乾杯した。


「今日の香織…カッコ良かったよ…」


「えっ!本当!」


めちゃめちゃ嬉しいぞ!


「俺も、もっと頑張んないとな…」


「嘉之はずっと頑張ってたよ!だから今回もきっと成功するよ!みんな一生懸命やってくれてるし、今日の梶さんもね、ちゃんと思いを伝えられるように頑張るって言ってくれてたよ!」


ネコにが、気になったけどね…。


「あぁ…あん人ね…」


嘉之は、黙ってしまった。


「あのさ!ネコの名前って…よ…」


あっという間に唇が重なり、私の下唇を咥え込む感じで甘噛みする。


「…んっ…」


左腕を肩に回し、右手で私の左手の指に絡めた。


嘉之は唇を離し、顔を私の耳元に埋めて囁いた。


「俺…死ぬ気で頑張るからさ…」


「うん…」


重なる手を更に強く握った。

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