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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
「このままでいったら完全に働き蜂よ。やってることが『利他的』だもの香織は」



「そ、そうかな…」


「自分の夢も託した様で散々尽くして全部持っていかれるのよ…嘉之に…まあ、女王様じゃないけど。そして嘉之は元木にバリバリ喰われたりして…ふふふ」


黎子の綺麗な口がつり上がる…こ、怖い…。


「もう~話を作らないでよ!」


緊張しながらすっかり溶けてしまったフローズンカクテルを飲み干したが、後味がやたら甘く感じてムカムカする。


「マスター!ジンライム下さい!」


「元木…確信犯だと、思うけど…」


「えっ…確信犯?」


「分かってるのよ…香織が嘉之を好きなこと。よくいるでしょ人の好きなモノを好きになる人。まあプラスに話を聞くから良いイメージから入れるしね。でも勝りたいのよ…誰よりも…『私が一番』と感じる瞬間の優越感かしら…」


「……じゃあ、ただ人の大事なモノを横取りしたいだけなの…?」


「ふふふ…一概には、だけど…元木は、そんな気がするわ。それも本人も自覚がない確信犯よね」

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