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理想と偽装の向こう側
第5章 トラウマ
ホームセンターの化粧室で顔を洗い、軽くファンデーションを塗り直す。


瞼が少し腫れぼったいけど、すぐに引きそうな感じだったので安心した。 


結局、自分で鼻はかんだけど、あれも天然なんだろうか…。


思い出すと、可笑しいやら気恥ずかしいやら。


それにしても、感情的になり過ぎたな…。


会った時から、小田切さんは確実に急所を狙ってきてる。


押し込んでたモノを掻き出される。


気の強い私には、こうゆうことされたら嫌悪感だったが、小田切さんには自然と吐き出せる。


天然小田切パワーの成せる業!?


ずっと頭と背中ん擦られてた時の安心感が蘇えった…。


…昨日の焼き肉といい、さっきのポンポンといい…端から見てたらラブラブだよね…。


いくら偽装同棲だとしても、簡単に出来るもんかな…?


………。


いいや…小田切イリュージョンだ!!
………。


色々あって、訳が分かんなくなりつつある。
考え過ぎるのは、悪いクセだ。


「香織ん、大丈夫~?」


「はい…なんとか修正しました」


「ははは!修正って!素でも可愛いから平気じゃん!」


「ハハハハハァ~」


釣られて思わずカラ笑い。


だ~か~ら~!
然り気無さ過ぎるんだってばぁ~!
心臓バクバクするから止めて!!


声にならない声を胸の内で轟かせてることなんぞ、露知らず。


「あ~ここ、ここ!シーツとか何枚か買っといた方が良くない?」


「はぁ~まあ確かに…。色々ありますね…」


てかさ…明らかに、お試し期間無視の流れになってるよね?


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