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隠匿シリーズ☆番外編
第6章 彼の忘れられない人は……?





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 アリエッタは王城の門の前に佇んでいた。いつからそうしていたか覚えていないが、いつの間にかそこにいたのだ。


 なぜか頭もぼんやりとしているが、いつまでも佇んでいるわけにもいかず、王城の前にいるということは何か用があって来たのだろうと踏み込もうとしたときだ。


 アリエッタを訝しげに見ていた衛兵が、踏み込むのを止めた。


「お嬢様。申し訳ありませんが、どのようなご用件でこの王城へいらっしゃったかお伺いしてもよろしいですか」


「え? あの……」


 王城へ来る際、いつも彼らとは顔を合わせている。なのにまるでアリエッタのことを知らないふうに話しかけられ、アリエッタは困惑する。


「どうなさいました? どなたかにご用でも?」


「あの、私、アリエッタです」


「そうですか。ではアリエッタ様、もう一度お伺いいたしますが、どのようなご用件で王城へいらしたのですか」


 王太子妃になってからもアッシュブラン邸に住んではいるが、アリエッタとて一応は王族の一員だ。用件がなくとも自由に通してもらっていた。そう、今までは。


 だが規則が変わったのだろうか。用件がなければ入ってはいけないのだろうか?


 そうは思うが、なぜここにいるのかも解っておらず、衛兵の問いに窮する。




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